2012-01-01から1年間の記事一覧

2012/10/30

告知二つ。「探検バクモン」フィルムセンター特集の後篇は明日の晩。今度は、映像のほかにポスターや機械も登場しますので、どうぞご笑覧のほど。そして京都国立近代美術館での「日本の映画ポスター芸術」もいよいよ明日から。ショップでは本展覧会のカタロ…

2012/10/28

‎1967年のカンボジア映画『天女伝説プー・チュク・ソー』@東京国際映画祭。ティ・リム・クゥン監督が亡命先のカナダに持ち出せた6本の映画のうちいちばん最後、ポル・ポト政権が空港を閉鎖する直前に救出した映画だという。下界に住まざるを得なくなった天…

2012/10/27

一曲200円でトランペット演奏してくれる人間ジュークボックス氏発見。子どもたちはアニメ主題歌、年配の方々は映画音楽を注文。私も「ジョニー・ギター」をリクエストしたが、楽しそうに吹いてくれた。

2012/10/25

昨日の「探検バクモン」、かなりの反響をいただきました。ノンフィルム資料も紹介される来週の後編もどうぞよろしくご覧ください。

2012/10/24

『レイモン・ドゥパルドンのフランス日記』@東京国際映画祭。正直、ドゥパルドンの映画に感激したことはない。同じドキュメンタリーでも、ワイズマンのような世界把握の凄みも、クリス・マルケルの茶目っ気もない。しかし許せちゃうんだよなあ、ドゥパルド…

2012/10/23

『ゴールデン・スランバーズ』(ダヴィ・チュウ)@東京国際映画祭。ポル・ポト政権に殲滅された1960年代から1975年までのカンボジア映画史を、生き残った女優や監督、ロケ地の住民の思い出、映画狂の記憶、写真や宣伝媒体、主題歌やラジオ予告の音声、雑草…

2012/10/21

浅草の映画館最後の日。名残を惜しむ人で通りはにぎやか、私もいろんな方に会った。六本木のグリーンカーペットも映画の風景だが、競馬おじさんのタバコの煙に満ちた浅草新劇場2階ロビーも映画の風景だ。劇場の後ろの壁際で恋をしているおじさんたちは、これ…

2012/10/18

若松孝二監督の訃報に絶句。映画のいい悪いではない、こういう人が世界に居ることが心の支えだったのに。明治学院大学、今年の日本映画シンポジウムはとりわけ豪華。 http://www.meijigakuin.ac.jp/event/archive/2012-10-10.htmlそして10月24日(水)夜の「…

2012/10/16

シネマテーク・フランセーズの展示室は来週24日から「天井桟敷の人々展」。一本の映画から展覧会を組むとはなんという手間と贅沢…。で、来年は「ジャック・ドゥミー展」が…。 そして、上映企画では冬の相米慎二特集がついにリリース! http://www.cinematheq…

2012/10/15

講義。小林いさむ「映画の倒影」(1933年)を読みながら、伊藤大輔登場の意義と、時代劇=チャンバラの誕生について。「映画(ここでは「キネマ」と読む)の倒影」は、エピソードだけでは大文字の歴史は書けないが、エピソードなしでは歴史は立ち現れてこな…

2012/10/10

七里圭監督の16分の新作『DUBHOUSE:物質試行52』。鈴木了二の作品がどれも物質の試行なら、それを収める映像も物質性に徹しなければならないという倫理の産物。現代美術における映像がしばしば「コンセプト」に還元されてしまうのに対して、ここでは質感だ…

2012/10/09

昨日観たのは黒坂圭太のアニメーション『緑子 MIDORI-KO』@ポレポレ東中野。顔のついた動き回る人工野菜緑子と、それを食べたがる連中から守ろうとする農学研究者ミドリ。…というストーリーはあるのだが、造形とメタモルフォーズへの欲望の方が説話の強度を…

2012/10/07

今日は、東京都現代美術館の「特撮美術館」に行こうとしたが、「入場2時間待ち」アナウンスにやられ、急遽、埼玉県立近代美術館「日本の70年代」展に参上。なんというか胸にキュンキュン来るものが多すぎて困った。谷川晃一「タージ・マハル旅行団」のポスタ…

2012/10/06

京都映画祭『一殺多生剣』へ行けない無念を晴らさんと、あちらこちらへはしご。「アイヌ文化フェスティバル2012」@東京国際フォーラム、「田中一光とデザインの前後左右」@21_21 DESIGN SIGHT、そして「粟津潔、マクリヒロゲル」出版記念パーティ@三軒茶…

2012/10/05

田村隆一「ボトルの方へ 酒神讃歌」。稀代の名詩人がだらだらと書き綴るスコッチ・ウィスキー讃、読後の適度な徒労感もまたよろしい感じ。だが朝はあまりページを進める気がしないのであった。柳田國男「明治大正史 世相篇」読了。一日に10ページ、とかやっ…

2012/10/04

10月20日より川崎市岡本太郎美術館で「小野佐世男—モガ・オン・パレード」 展。世の中も映画界も日本風の女性美を求めた戦前期に、徹底してグラマラスな女性ばかり描き続けた異色の漫画家、小野佐世男。戦後の1954年、来日するマリリン・モンローを取材する…

2012/10/01

『ライク・サムワン・イン・ラブ』@ユーロスペース。ここまで後味の悪い映画も滅多にない。だがそれは断じて失敗ではなく、キアロスタミの意志と揺るぎない演出によるもの。だから、ただ真っ直ぐ受け止めるのみ。試写ではなく、お金を払って観て本当に良か…

2012/09/30

10月19日から神戸ドキュメンタリー映画祭が始まる。やはり注目は特集「伝説の映画集団NDUと布川徹郎」。 『モトシンカカランヌー』にしても『アジアはひとつ』にしても、NDUの傑作は人と人とが邂逅することの事件性、その絶え間ないスパークの連なりで成り立…

2012/09/28

最近駅で増えている、ジュース缶の画像が並んで表示される自販機が嫌いだ。物とそのイメージを一緒くたにしてはいけない。ま、「物」も本物じゃなくてサンプルですけどね。

2012/09/25

昨日のもう一つの試写『ドキュメンタリー映画 100万回生きたねこ』(小谷忠典)。男は自慢をする生き物。女はそれを黙ってやり過ごす生き物。佐野洋子が喝破したこの冷徹な事実を、このドキュメンタリーは最後まで裏切らなかった。そこにいるのは、この本を…

2012/09/24

午前の試写でロベール・ブレッソン『白夜』。分かってはいたんだけど、朝から観る映画じゃなかった。精神的ダメージが大きい。だから、あらゆる人に「観てください」と勧めることにする。恋という残酷の奈落へ。 メモ1: 35mmニュープリントだが、復元版で…

2012/09/23

新宿歌舞伎町の神社の境内で映画ポスター展を開催!という謎めいた情報を入手。行ってみたら会期は終わっていたが、一部の掲示板にはまだポスターが残っていた。ポスターは戦後のものだが、大正から昭和初期にかけて隣りの職安通り沿いに「大久保館」という…

2012/09/22

「不滅の俳優 池部良の世界」展@早大演劇博物館。池部良は、清潔さと色っぽさという、誰にも奪うことのできない日本映画史の特等席を与えられた。そして晩年は名エッセイスト。原稿用紙と4Bの鉛筆がぴったり収まる薄手の黒いカバンが粋だった。亡くなる半年…

2012/09/19

ぴあフィルムフェスティバル『Playback』(三宅唱)。東京で役者をやっている男(村上淳)が、高校時代の同級生たちに引っぱられるまま仕事を放り出して水戸へ帰省。ここから映画は、旧友たちとの交流と高校時代の日常という二つの時間を持つことになる。だ…

2012/09/17

昨日観たNDU作品『アジアはひとつ』(1973)@ポレポレ東中野。撮影隊は、計画することなしに沖縄本島から宮古、八重山、台湾へと流れ、出会った労働者や老人の語り、歌を拾ってゆく。台湾高地の先住民は明るい声で「大和魂」を口にする。アジアはひとつ、し…

2012/09/15

仕事、いま一つ気合いが入らず。しかし黙々と書く。夜、年下の友人から励まされる。明日は、早稲田大学の大隈記念タワーでお会いしましょう。ドキュメンタリー・ドリーム・ショー2012の特別企画「幻灯:光の紙芝居」です!http://kyodo.enpaku.waseda.ac.jp/…

2012/09/13

富士フイルムが映画用フィルム(エテルナRDSを除く)の製造を終了するという衝撃のニュースが流れた同じ日に、英国で世界最初のカラー映画フィルム(1902年)が発掘されたという報道が流れてくる皮肉。三原色のカラーフィルター方式だそうだが、発明者のター…

2012/09/12

『アウトレイジ ビヨンド』@ワーナーブラザーズ試写室。現代の「実録路線」と言ってしまえば簡単だが、スカスカな虚の部分が魅力だったたけしが、こうやって濃縮系の暴力映画で復活していることがすごい。脚本レベルで濃密だし、キャスティングがいい。大き…

2012/09/10

祝100年! 先週土曜で、ようやく東京周辺の日活100年関連展覧会をすべて踏破しました。以下ご参考まで。*フィルムセンター「日活映画の100年 日本映画の100年」(12月23日まで) 創立から現代まで100年間を総合的に。*江戸東京博物館「日本映画の青春時代 …

2012/09/09

『銀鉛画報会』@ポレポレ東中野。消えつつある8mm映画に今できることの総決算。内村茂太の日記映画『シロノワールを食べたことがあるかい?』には爆笑した。8mmフィルムとは単なるノスタルジックな映像媒体ではなくて、強烈な世界の変換装置だ。エクタクロ…