2010-10-01から1ヶ月間の記事一覧

水平線がきらきらっ

10月10日こないだ買ったパゾリーニの詩集は今年発行されたもので、自らの生い立ちを詩にした一種の自伝である。イタリア語初心者たる自分でも、辞書があれば多少は読めそうな感じがする。パゾリーニが7歳にして初めて詩を書いたのは、なんとポルデノーネの隣…

フランス映画の野蛮時代

10月9日観る側の体力を上回るほどの上映が毎日詰め込まれているこの映画祭、体調管理もなかなか大変である。それでも60歳を超えていると思われる人々が、午前1時まで上映を観ていたかと思うと翌朝9時には平然と席に座っていたりするから、西洋人の基礎的なパ…

ロビンフッド対オネジム

10月8日昨日から晴天続き。ノンチェロ川周辺を散歩するもよし。牛原虚彦『若者よなぜ泣くか』(1930)も好評。要するに、牛原や清水や島津の文体を語る以前に「蒲田の文体」というものがあるのだな。ただスティーブン・ホーンさんの演奏、それ自体は素晴らし…

リリーはシャンパーニュがすき

10月7日朝、体調がいまひとつ優れず。ちょっと腹痛もあり。途中から牛原虚彦の『進軍』(1930)に入る。ドラマと航空シーンが完全に分離しているし、敵というものが一切描かれていないのだが、当時はこういう作り方しかできなかったのだろうと牛原に同情。陸…

13分のファム・ファタル

10月6日捻挫の薬を求めて朝から薬局を探す。スプレーを買い求めたが、若い知人が別の薬局で湿布を買ってきてくれて大感謝。スプレーした上から湿布という強力な布陣で島津保次郎『麗人』(1930)に臨む。足を休ませるにはこういう長い映画は最適である。今回…

塩と女装とハムレット

10月5日おとといの『戦艦ポチョムキン』は、2005年に元ミュンヘン映画博物館ディレクターで、かつて『メトロポリス』の復元で名を馳せたエンノ・パタラスが手がけた復元版である。編集としてはソビエト公開時のオリジナル版ではなく、ドイツ公開時(1926)に…

蒲田ウェスタン

10月4日昨日、この映画祭の創始者デヴィッド・ロビンソンさんに、自分の編集した「無声時代ソビエト映画ポスター」のカタログを贈呈したところ、今朝になって「どうしてこれだけのポスターが日本にあるんだ!信じられない!」と驚嘆のまなざしで話しかけてこ…

ブラーチャ!

10月3日まだ時差の調整ができず、本意でない早起き。まあそれなら、と午後のコレギウム(講義)の準備をする。結局、清水宏の『七つの海』(1931-32)は後篇の上映から会場入り。かなり満席に近く、日曜の朝9時からこんなズブズブのメロドラマに漬かっている…

ポルデノーネの海底王

※ここから第29回ポルデノーネ無声映画祭日記です。10月2日正午過ぎ、乗り継ぎ地のローマから空路でヴェネチアに到着、映画祭スタッフのお迎えで高速道路(アウトストラーダ)を一時間ほどぶっ飛ばしてポルデノーネへ。アリタリアのフライトでは、機内テレビ…