2012/09/30

10月19日から神戸ドキュメンタリー映画祭が始まる。やはり注目は特集「伝説の映画集団NDUと布川徹郎」。
『モトシンカカランヌー』にしても『アジアはひとつ』にしても、NDUの傑作は人と人とが邂逅することの事件性、その絶え間ないスパークの連なりで成り立っている。そのスパークの前では、国境などあってなきが如し。島々を南下しながらフィルムにその瞬間ごとの火花を託す、どこにも収斂しようとしないそのロマンの強靭さゆえに、上映の終わった後はいい酒に酔ったような気分にもなる。
「出会いの映画とは何か? ……それは一つの“作品”の創造の現場に人々が出会うことではなく、人々の出会いから“作品”が生まれていくことなのだ」(竹中労「さらなる幻視の海へ」、「キネマ旬報」1972年5月下旬号)