2012/10/10

七里圭監督の16分の新作『DUBHOUSE:物質試行52』。鈴木了二の作品がどれも物質の試行なら、それを収める映像も物質性に徹しなければならないという倫理の産物。現代美術における映像がしばしば「コンセプト」に還元されてしまうのに対して、ここでは質感だけが君臨していて、見えない人間が徘徊しているかのような息遣いがある。闇に浮かぶ物質の輪郭も、そもそも闇自体の持つ繊細なグラデーションも、今日のようなフィルム映写でしか表現は不可能。いわば「最後の映画」となる覚悟を秘めた映画かも知れない。