2012/09/19

ぴあフィルムフェスティバル『Playback』(三宅唱)。東京で役者をやっている男(村上淳)が、高校時代の同級生たちに引っぱられるまま仕事を放り出して水戸へ帰省。ここから映画は、旧友たちとの交流と高校時代の日常という二つの時間を持つことになる。だが、高校のシーンもオトナがそのまま学生服を着ているので「回想シーン」とも呼びにくく。

人生を逃げて、人生へ戻ってくるまでの映画。だが、ジョン・カサヴェテスのような持続の映画ではない。むしろ言葉も映像も断片化されていて、その集積があちこちで結晶して輝く、という過去に体験したことのない感触がある。そして、白黒35mmという完成形を必然のものと納得させてくれる四宮秀俊の撮影も圧巻。スケボーのシーンをはじめ、ロングショットに威力がある。

上映後のトーク、京橋での上映を大変喜ばれる監督も面白かったが、フィルムセンターで観た清水宏小原庄助さん』にハマったという渋川清彦さんも素晴らしかった。