2012/10/28

‎1967年のカンボジア映画『天女伝説プー・チュク・ソー』@東京国際映画祭。ティ・リム・クゥン監督が亡命先のカナダに持ち出せた6本の映画のうちいちばん最後、ポル・ポト政権が空港を閉鎖する直前に救出した映画だという。下界に住まざるを得なくなった天女が若い農夫と結婚、貧しいながらも愛を育むが、好色な地主にいじめられ、ラストでは天上の厳格な父親の手で二人の仲は引き裂かれる。悠然としているがダレたところのない語り、確立したスター・システムの存在に、一時代のカンボジア映画の豊かさが見える。夫妻の隣家に住む娘役の女優さんがあんまり魅力的で倒れそう。

あと一昨日だが、カンヌあたりで噂のカルロス・レイガダス作品も初体験。『闇の後の光』@東京国際映画祭。映画がこれまで編み出してきた説話法の否定や感情移入の拒否、一見して客をビビらせる異常なフォーカスワーク、脈絡を欠いたシーンの並置など、すべて自信の産物。だが「オレここまで新しいことやっちゃって、かっこいいよね?」という感じが鼻につく。あんまり映画なめんなよ、と言いたい。

応援告知。12月1日から15日まで、映画ポスターデザイナー小笠原正勝さんの展覧会「あの遠い日の映画への旅」(高林陽一監督の本の題名ですね)が横浜で開催されます。トークイベントにも熱が入りそうです。会場はシネマ・ジャック&ベティすぐ近く!
アートスペース&カフェ nitehi works 横浜市中区若葉町3-47-1