2014/02/23

『アデル、ブルーは熱い色』試写@シネマート六本木。主題は女と女の性愛だが、フランス映画の伝統に純然と連なる恋愛ビルドゥングスロマン。しかし、女をあえて「美しく」描こうとしない自然主義、顔のアップやバストショットの連続で3時間を語り切る力業は…

2014/02/17

『湖の見知らぬ男』@アンスティチュ・フランセ。すでに評判のアラン・ギロディ監督だが私は初見。美しい湖畔のハッテン場殺人事件。ショットと編集の織りなすフォルムに惹き込まれ、露骨なゲイセックスのシーンも心穏やかに見られてしまう。まあ、これを全…

2014/02/12

更新を止めた私の旧サイトの中でも、いまだに訪問者がいるらしい謎の“現役”ページ、「東京ベルギー・ビール専門店早見表」を4年ぶりに更新! よろしければご活用ください。最近はほとんど飲んでませんけどね。 http://users.ejnet.ne.jp/~manuke/zatsu/beer/…

2014/02/10

もう先月のことだが、試写『愛の渦』@シネマート六本木。深夜の乱交パーティに集った10人の男女による、性交まじりの会話劇。原作はポツドールの名戯曲だそうだが、演劇を映画に移し替える時の課題がくっきり出た。舞台の上では緊張感として捉えられる沈黙…

2014/02/02

『無人地帯』(藤原敏史)@ユーロスペース1。この作品の精神は土本典昭の言葉「記録なくして事実なし」に始まり、終わる。私たちはこれまで、おびただしい量の震災映像に触れてきた。見るなり暗澹たる気分にさせられる報道映像の瓦礫の群れにも。しかし、こ…

2014/01/25

「小津安二郎の図像学」展、国内各誌紙で取り上げていただき光栄ですが、どういうわけかフランス「カイエ・デュ・シネマ」の次号にも特集記事が載ることに。編集部とのスピーディなメールのやりとりが楽しかった。私自身かつて俳句をやっていたが、小津の俳…

2014/01/20

雑誌「映画技術」の1949年のある号に「映画劇場に於ける便器個数決定法の研究」という論文が…。書いたのは某大学の工学部教授で、数式もいっぱいある相当まじめな論文だった。この頃は映画も復興期、よっぽど映画館のトイレが混んでて頭に来たんだろう。 htt…

2014/01/19

ミハイル・ブルガーコフ「犬の心臓」最高。革命後すぐの混乱したモスクワの話なのだが、質感は現代小説そのもの。太田直子「字幕屋のニホンゴ渡世奮闘記」へ。これ、映画書ベストテンに入れたかったな。かつて映画を学ばれ、その後西荻窪の「音羽館」にいら…

2014/01/16

ロベルト・ボラーニョ短篇集「通話」。この面白さ、どう言ったらいいんだろう。三文小説家、ならず者、絶望した女。どう見つめたらいいのか分からない遠い連中の生に、読んでる自分がいつの間にかふんわり包まれている。訳者の後書きでは「ウディ・アレンと…

2014/01/15

映画は横長だなんて誰が決めた? 来週、ロッテルダムで「垂直映画」の上映が。エルキ・フータモ先生の講演もあり。 http://www.verticalcinema.org/

2014/01/09

孤独に、勝手に、独断で、ひっそりと選ぶ2013年映画書ベストテン。例年のことですが、いまだ読めていない本だらけで網羅性はありません。また、主題性と着眼点に重きを置いた選考です。1 蓼科日記 抄(「蓼科日記」刊行会編) 2 ルイス・ブニュエル(四方田…

2014/01/04

「で、そのラングロワ氏ってのは一体誰なんだ?」シャルル・ド・ゴール(1968年)2014年はシネマテーク・フランセーズ創立者、「ラングロワ事件」で大統領もビビらせたアンリ・ラングロワの生誕百年。

2014/01/01

新年おめでとうございます。活動をかなりFBに移して静かになっているブログですが、忘れないようにしないと…。私が勝手に選ぶ「2013年の映画書ベストテン」は、昨年と同様一月中には発表します。目先の仕事に追われて読書を後回しにしたことを反省しつつ、た…

2014/01/01続き

そんなことより、この瞬間、思いを寄せたいのはこの人だけ。中学生の頃から30年聴いてきた。今も完璧。それ以外の言葉はない。

2013/12/19

映画館って、街でいちばんかっこいい場所だったんですよ。「戦前期日本の映画館写真(3)―東京・新宿 渋谷 神田 六本木篇」。 http://www.momat.go.jp/FC/digitalgallery/20131217_005.html

2013/12/11

来ましたよ! 12月12日。 https://www.google.co.jp/明日から「小津安二郎の図像学」が始まる。ひょっとしたら、コロンブスの卵を立ててしまったのかも知れない。でも、亡くなって50年目では遅すぎるとも言える。大研究をいくつも目にしてなお、小津研究はこ…

2013/12/09

「小津安二郎の図像学」鋭意施工中。小津の誕生日である12日が初日ですが、同日21時よりNHKのBSプレミアムで「小津安二郎・没後50年 隠された視線」が放映されます。舩橋淳さんの力作です。豪華なインタビューのほか、監督旧蔵資料をベースにした実証的な分…

2013/12/02

モーニングショー『旅する映写機』@ポレポレ東中野。消えてゆくフィルム映写機の旅路…というドキュメンタリーであることは確か。だが、結局この映画が示しているのは「人間と映画がともに暮らす」というライフスタイルだ。北海道で福島で高知で、そんな人生…

2013/12/01

チェコの映画ポスター展、東京展は本日終了。ご来場ありがとうございました。特に最後の二週間の盛り上がりは感無量。モノクロームの名手グリガルの傑作を。 チェコスロヴァキア版『夜』(ミケランジェロ・アントニオーニ) ポスター:ミラン・グリガル(196…

2013/11/29

日曜のことだが、鄭義信脚本、山田洋次演出「さらば八月の大地」@新橋演舞場。1944年から日本の敗戦まで、満洲映画協会のスタジオを舞台にした青春群像。客席の空気から察して、かなりのご婦人は中国人助監督を演じた勘九郎さん、やや若いお客さんは、日本…

2013/11/24

昨日参上、「植木金矢 映画ポスター展」@浅草公会堂。行く余裕なしと悲観していたが運良く時間ができた。戦後、ちゃんばら劇画や時代劇小説の挿絵で一世を風靡した植木先生、この20年ほどは名作映画の手描きポスターを制作されていて、それだけに特化した展…

2013/11/19

明日発売の「日本カメラ」12月号、2013年写真展ベストの選考で、フィルムセンター企画「日本映画 スチル写真の美学」が写真史研究の冨山由紀子氏により2位に選出された。映画資料の展示が初めて写真展として評価されたのが嬉しい。

2013/11/16

そう言えば、初日に行ったのに書き忘れていた(FBだけで書いていた)「ユートピアを求めて ポスターに見るロシア・アヴァンギャルドとソヴィエト・モダニズム」展@神奈川県立近代美術館(葉山)。圧巻! 70%は映画ポスター展と言っていい内容だが、クルツ…

2013/11/08

明日から、東京国立近代美術館公式ツイッターで、ジョセフ・クーデルカ展とチェコの映画ポスター展の交互リレー・ツイートによる作品解説が始まります。Czecholaborationって言うんでしょうかね。

2013/11/02

特別上映会「伝説の映画コレクション」の研究講演会で、日本映画社ジャカルタ製作所(1943-45)の活動について発表をした。明日も、日映ジャカルタの1944年の劇映画2作品の上映解説に現れますので、よろしければご来訪ください。最初の『蒔かざれば』は郵便…

2013/11/01

展覧会「小津安二郎の図像学」情報が出ました。最新研究の自負はあります。まだトンネルの中ですがご期待ください。 http://www.momat.go.jp/FC/ozu2013/index.html

2013/10/23

25日に東京国際映画祭で上映される『東京オリンピック』(1965年)は、IOCの公式オリンピック記録映画復元プロジェクトでデジタル復元された一本。旧知のフリーランスの映画アーキヴィスト、エイドリアン・ウッドさんが主導した仕事である。むかしこの映画を…

2013/10/22

東京国際映画祭で、日本アニメーション史に輝く政岡家と大藤家の歴史的ご対面。山村浩二さんとともに。私もその場にいたのだが、感動のあまりくらくら来た。記事は山村さんのブログ。 http://yamamuraanimation.blog13.fc2.com/blog-entry-1209.html

2013/10/19

こんなに濃密な2時間など、そうあるものではない。東京国際映画祭「日本アニメーションの先駆者たち〜デジタル復元された名作」@シネマート六本木1。デジタル復元で甦った政岡憲三『くもとちゅうりっぷ』と大藤信郎の『くじら』『幽霊船』を、復元の最新技…

2013/10/16

告知。明日18:10からののNHK「首都圏ネットワーク」で、東京国際映画祭でデジタル復元版『くじら』『幽霊船』が上映されるアニメーション作家大藤信郎が紹介され、私がコメントしています。土曜の大藤作品(+『くもとちゅうりっぷ』)の上映、お見逃しなく…