2014/01/19

ミハイル・ブルガーコフ「犬の心臓」最高。革命後すぐの混乱したモスクワの話なのだが、質感は現代小説そのもの。太田直子「字幕屋のニホンゴ渡世奮闘記」へ。これ、映画書ベストテンに入れたかったな。

かつて映画を学ばれ、その後西荻窪の「音羽館」にいらした今野真さんが昨日18日開店した三鷹古書店「水中書店」へご挨拶。まず店頭の100円コーナーが、カルヴィーノとか古川日出男とか大盤振る舞いではないか。そして、単独の縦置き棚に「チェコの映画ポスター」図録が! くー、ありがたいです。で、アントニオ・ロペスの画集を買った。まだ準備中の棚もあり今後さらに充実するはずだが、おしゃれで居心地のいい空間。店名にもかかわらず普通に呼吸はできた。

ここ10年ほど、谷根千や中央線にこうした新感覚の古書店が増えているが、旧来の長い古書店修業やのれん分けを経由せず、読者としてのセンスを磨いた若い人がエッジの利いたお店を開くのは、まさに映画のヌーヴェル・ヴァーグと同じ。そのうち「ジャック・ロジエのような古書店」や「ジャン・ユスターシュのような古書店」が出てくるのかも(どんなんや)。もっとも、書店は代を継いで長く続いたりもするので、「今もルネ・クレールが元気に仕事してる書店」てな感じの、旧世代の健在も大切なのだろう。