2014/02/10

もう先月のことだが、試写『愛の渦』@シネマート六本木。深夜の乱交パーティに集った10人の男女による、性交まじりの会話劇。原作はポツドールの名戯曲だそうだが、演劇を映画に移し替える時の課題がくっきり出た。舞台の上では緊張感として捉えられる沈黙が、映画では進行のじれったさにしか見えなくなる。上映時間は123分だが、編集と省略技法で15%カット、俳優の動きと台詞回しをリアリズム方向に速くしてもう15%カットすべき。つまりこの戯曲の、映画における適切な長さは85分ぐらい。カット割りは練られていたし、笑えるところはそれなりに笑えた。そして俳優たちも…よく堪えた。何度も絶望的な気分になったのではないだろうか。頭が下がる。帰り道、この脚本にいちばんマッチした監督は誰だろう、などと考えてみる。

これも先月だが『ほとりの朔子』。あえて褒めすぎるなら、2013年の日本をも刻印した、エリック・ロメールへの私淑にとどまらない新たな『海辺のポーリーヌ』の誕生だ。深田監督の現時点での最高作。

月刊「みすず」恒例の2013年読書アンケートに今年も参加しています。昨年は読書をさぼった年だったことが痛感され、悔やまれるばかり。
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