2013/12/02

モーニングショー『旅する映写機』@ポレポレ東中野。消えてゆくフィルム映写機の旅路…というドキュメンタリーであることは確か。だが、結局この映画が示しているのは「人間と映画がともに暮らす」というライフスタイルだ。北海道で福島で高知で、そんな人生を所与のように受け入れてきた方ばかり、次から次へと現れるのが感動的。映画を上映しない日は果物を収穫したりうなぎ獲りのワナを川に仕掛ける、そんな生活がしっくりくるのは人間の身体になじむフィルム映写機だけ。それを失うことは、ノスタルジーではすまない「暮らし方」の本質的な喪失である。
劇場館主の皆さんにも感服したが、新響35mmポータブルを今も修理している86歳の技術者の方(全然86歳に見えない)の、静かな自信に満ちた佇まいが素晴らしい。
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