2011/08/09

午前、国際交流基金の海外の現地職員の方々に館内をご案内。日本文化紹介の前線で働く方々のための訪日研修の一環で、私がこうしてお迎えするのも何度目かになる。戦前の映画館プログラムはおしゃれなので外国の方からはしばしば「ラブリー」という声が上がるが、今はちょうど多数展示しているので好都合。トロントの方は前に日本のグラフィック展を担当されたらしく、いくつかポスターをお見せすると「ヨコオタダノリ!」「サトウコウイチ!」とやや興奮気味になられたのは私も嬉しかった。ランチもご一緒した。明日は京都の国際マンガミュージアムだそうだ。よい旅を。

午後、IMAGICA第一試写室で『東京物語』デジタル復元版の上映。もはや有名な話だが、この映画のオリジナル・ネガは半世紀も前に焼失している。よって、ジェネレーションを重ねた素材しかないという条件下でベストを尽くしたと思われ、とりわけキズやパラは驚くほど丁寧に消されている。公開当時は存在したパラまで消えているかも知れない。それでも、途中からは映画にのめり込み過ぎて、復元版を観ているという意識さえ遠のいてしまった。それが小津のフォルムの恐ろしさだ。