2011/07/11

7月の前半でこの猛暑は先が思いやられる。大学もいつもより学期の終わりを遅くしているから、学生にもかなりの負荷がかかるはずだ。でもレポート頑張れ。

東宝試写室で『監督失格』。監督平野勝之と女優林由美香の壮絶な愛情と別離の記録。キャメラを持つことの業の深さを、最初からラストまで休むことなく考えさせられた。愛のために、映画のために、人はここまで他人に甘えてもいいのだろうか、そんな怖さまではらむ。でも大切な人を失ったこの監督には、良い、悪い、ではなく、この方法しか決着の術がない(しかも決着なんかできないと)。人の優しさで完成した一本だと思う。

前売券を無駄にしてなるものか、とユーロスペースグラウベル・ローシャ特集『黒い神と白い悪魔』。むかしケイブルホーグ配給で見ているが、ほとんど忘れたのでまた胸騒ぎがしていた。地主を殺してしまった極貧の男が、黒人教祖に魅入られてゲリラの仲間入りをし、教祖が殺されると別のゲリラ隊に合流し、逃亡の果てに敵の刺客アントニオと対面する。荒野に人がすっくと立っているだけで映画になってしまうマジック。なかなか話が進まないと思いきや、ロングショットで捉えられるラストの決闘が最高。途中、殺すか殺されるかのむさ苦しいマッチョ状況で、女同士がいきなりキスをしていたのが衝撃的だった。画像は、トリノの映画博物館に展示されているこの映画のフランス版ポスター。素敵すぎてため息。