車と市長とレンタサイクル

パリへ戻る。列車内で研修報告書の骨子を書き始める。記憶が鮮明なうちに少しでも手をつけておくのがいい。さすがに荷物が重いので、モンパルナス駅からタクシーに乗る。運転手さんが、すぐ前を走るヴェリブ(市営レンタサイクル)の自転車を指差して「あれねえ、邪魔でしょうがないんだ」。右端のバスレーンはタクシーと自転車の走行もOKなので競合してしまう。彼の言いたいことはよく分かる。というのも、ヴェリブのシステムを最初に導入したのはパリではなくリヨンだったのだ(リヨンでは「ヴェロヴ(VELOV)」という)。リヨンの交通量ならそれほどタクシーを戸惑わせないだろうが、それをそのままパリのカオスに移植したら…。なお平野道子さんによれば、最初にこれを導入したのはパリだと思っているパリジャンにリヨン市民は怒っているとのこと。

そして、なんとトゥールーズにもあの自転車貸出システムができていた。「ヴェロ・トゥールーズ(VELO TOULOUSE)」という名で、まだどれもピッカピカ。思い立って調べてみたら、昨年久々の左翼市長が生まれたことが分かった。リヨン市長も社会党(セゴレーヌ派)。つまりあの自転車は、今どきの社会党市長のシンボル的な政策なのではないか。エコロジー行政の一環とされるこのシステム、地方都市では自動車代わりに使われているかも知れない。しかしパリではメトロの利用者が使うだけで、車の数は減らないような気が。