兄弟の陰に…

リュミエール協会を訪問。ここでは、「リュミエール」とは必ずしも映画の発明者のことではなく「リュミエール家」のことである。ルイとオーギュストの父アントワーヌによる写真製品の製造事業から説き起こし、兄弟の映画以外の発明にも視野を広げないと正確な理解は得られない。アルベール・カーン博物館にあったオートクローム写真もリュミエール社の発明だし、第一次世界大戦中には負傷兵士のための義手まで開発していたとは驚いた。

セシル・ブールジャさんによる事業説明の後、図書室責任者のアルメル・ブールドゥルスさんに所蔵資料について解説していただく。事務所を含めた博物館の建物はもともとリュミエール家の邸宅で、現在映像ホールや駐車場になっているところが工場だったという(もちろんそこに「出口」もあった)。しかし、売店に行ってみると、フランスの他の映画機関の売店とどこか雰囲気が違う。ポストカードも変にウディ・アレンの映画が多いし、出版事業もジョン・ブアマンだのジャン・オーランシュだの。現在の上映はシドニー・ルメット特集。そうか、ここは「ポジティフ」派の拠点だったのか! リュミエール家の栄光の陰に隠れて分からなかったが、理事長はベルトラン・タヴェルニエだし、なーるほど。道理でシネマテーク・フランセーズとは共同事業をやらないわけか…。