労働する猫たち…

映画発明以前のヨーロッパ的スペクタクルへの関心をそそられて、というのはややこじつけで、実はサーカス体験が非常に薄い(幼時の記憶がうっすらあるだけ)ことに気づいたので、1852年にナポレオン三世が建てた、パリ市内で現存する唯一の19世紀以前の常設サーカス場「冬のサーカス」(CIRQUE D'HIVER)へ行ってみた。建物は正20角形、1937年からはイタリア出身のブーグリオン家が率いるようになり、今も夏に練習、冬に興行というスタイルを守り続けている。さすがに見事なタイムキーピングで、猛獣の曲芸や空中ブランコ、猫の火の輪くぐり(!)、ジャグリング、パントマイム、ローラースケートの軽業などを隙間なく2時間20分の中に埋め込んでゆく。楽団の演奏も贅沢極まりなく、19世紀と変わりないものを今の子どもたちが当然のように楽しんでいることが羨ましくてならない。自分の席のすぐ横が空中ブランコセーフティネットをつなぐケーブルの根元で、最後にブランコ乗りがネットに飛び降りる際にすぐそばでギシッギシッと鳴るのが快かった。

ところで、ごく近年フランスでもっとも流行し、すっかり根づいたニホンのカルチャーとは、実は"SUDOKU"ではないか。地下鉄で熱中している中年女性をよく見かけます。