忘れた頃に…

編集の福本さんにお願いしておいた「映画芸術」ベストテン号がこちらに届いた。感謝感謝。さっそくセバスチャンが点数表のコピーをとっていった。それにしても『ノン子』なんですか。へー。観てないけど。

もうすぐシネマテーク・フランセーズでの研修は終わりになる。今日はジャン=フランソワ・ロジェ課長率いるプログラミング部門へ。私のここでの研修の主なテーマは非フィルム資料だけれども、上映の仕事がシネマテークの本丸であることに変わりはない。何を説明しても明晰きわまるロジェさんのもとには6人の担当がいて、いちばんの古株がアルベルト・デル・ファブロさん。ここで上映されるフィルムのうち手持ちのものは30〜35%で、あとは外部から借りるので、フランスにあるさまざまなフィルム貸出団体について説明していただく。アフリカ映画ならここ、フランスの有名監督の知られざる短篇文化映画はここで結構見つかる、などなど。後者は当然16mmプリントも多い。サン=シールで知ったのだが、シネマテークには実は大量の16mmコレクションがある。昔のアメリカ映画などでそういう配給ルートがあったことと、保存用のほかに貸出用に16mmを一本作っておくとよいというラングロワの方針(それが自然に思えた時代もあったのだ)のためである。現存する映画はどんなものでも大抵は見つかる、という感じがしてくるところがニホンとは違う。羨ましい。

夜、フランス将棋連盟の水曜例会に伺い、フランスの愛好者の方々と将棋を指してきた。場所は市役所近くのカフェ。10人ちょっとの参加者のうち、日本語の堪能な方がお二人。日本将棋連盟から送られてくる「週刊将棋」の詰将棋を解いている人もいる。パリ大学の院生だというエルヴァン・ルペルテールさんは普及にも熱心で、初心者の若者たちを連れてきていた。彼らが四苦八苦して簡単な詰将棋を解いているのが可愛らしい。中には日本のプロ棋士に詳しい方もおり、「イッテゾンカクガワリ」などの最新戦法もちゃんと研究されている。そしてフランスチャンピオンのエリック・シェモルさんは四段。物静かな方で腰の重い重厚な将棋を指される。日本に行くことなくこのカフェで強くなって、その後国際将棋大会のため三度も来日したというそのシェモルさんに一勝一敗。満足な結果である。来週も行こうかしらん。