おもちゃ屋さんになるまで

現在のシネマテークの展覧会は、「映画博物館」の流れを汲む常設展、その時々の企画展のほかに、スタート時には終了日を定めていないが長期の展示を意図したいわば「半常設展」があり、計3つの会場が存在する。現在の「半常設展」は去年4月に開始した「メリエス、映画の魔術師」展で、結局今年の6月までと定まったようだ。先日駆け足で回ったのだが今日は時間をかけて観た。さすがマノーニさんの監修というべきか、そう簡単にメリエスを導入してはくれない。映画発明以前の見世物文化としての魔術をじっくり紹介し、次に風刺画家でもあった映画以前のメリエスに着目、そういう知の厚みの中から「映画魔術師」の誕生を浮き上がらせる。もちろん『月世界旅行』など代表作の世界もたっぷり紹介するが、ラストは「なぜメリエスは没落したか」。パテ社の大工場の模型を見せて「こんな大きな会社でなければ映画が作れない時代」を否応なく理解させてから、その横にモンパルナス駅の小さなおもちゃ屋になったメリエスの写真を並べる。讃辞の言葉として「教育的!」と言いたくなった。

ダニエル・ダリュー特集をやっているという話の流れで、ジャック・エロールさんに「ダリューより年齢が上でご存命のフランス女優っています?」と尋ねたら「ポーレット・デュボスト!」というお返事が帰ってきた。ええーっ! だって、『ゲームの規則』ですよ?(超かわいい小間使い役) 『北ホテル』ですよ? ウィキペディアだけどルノワール女優ナナ』のエキストラだったとも書いてありますよ? まだ現役なんだそうで恐れ入った次第。