ピザ・マストロヤンニ

2005年9月の新しいシネマテークの開館以来、そこで映画を観た日本人の方々から二度か三度ほど聞いたのが、すぐ向かいに"MASTROIANNI"なるピザ屋があるぞという話である。でも、そこで食べたという話は聞かない。まあ、シネマテークのお向かいにマストロヤンニですかい、ははは、という感じはするわけだが、実はここのピザはめちゃくちゃにうまかった。別の日にタリアテッレを頼んだがこれも猛烈にうまかった。実際に店の壁は分かりやすくソフィア・ローレンだったりアルベルト・ソルディだったりするわけだが、いつも満席なのも納得の味である。再開発地区のベルシーはつまんない界隈だとみんな言うけれど、ちょっと歩けば他にもうまい店は見つかる。

他人のオフィスで毎日を過ごしていると、日々のランチに付随する慣習も分かってくる。午前のうちに誰かに内線で電話をかけてランチの約束。「今日はムッシュー・オカダもいるのよ〜、どう〜?」。で、職員通用口で待ち合わせてどこかのレストランへ行く。若手の多い部署では、サンドイッチか何かを買ってきて、作業机を囲んでみんなで食べている場面も見た。で、別の部署の同僚と食べる時などは、なかなかオフィスでは言いにくいような、仕事上の問題や意見を大真面目に述べ合っていることも多い。フランス人同士の会話速度にはあまりついてゆけないのだが、それでもこういうところで組織の性格が少しは見えるもの。今の問題の多くは、組織が急に大きくなったので何をするにも調整が面倒になったことに起因するようだ。