トリュフォー図書館

週末になった。まだ研修は3日しかこなしていないが、とにかく新鮮だったのはシネマテーク云々よりも、外国にある人のオフィスで終日過ごしているという事実。週末なので研修は休みになったが、もちろん私に休みなどあろうはずがない。というわけで、去年11月、フォーラム・デジマージュ(パリ市営の映画上映施設。かつてのヴィデオテーク・ド・パリ)の中に開館したばかりの「フランソワ・トリュフォー映画図書館」を訪れてみた。そもそもフォーラム・デジマージュ自体、パリのど真ん中にある地下ショッピングモールの一角。買い物客でごった返す通路の脇にキラキラと映画専門図書館が輝いているという風景が信じられない。5冊まで貸出可能という専門図書館としては破格のシステムで、貸出希望の多そうな本は何冊も並んでいる。クリスチャン・メッツの同じ本が7冊も並んでるなんて初めて見たよ…。日本映画の本は60冊程度。場所柄もあるんだろうが利用者でいっぱい。人はこんなに映画の本を読むのだろうか、とつまらないことを考えてしまう。盗難防止策とかあれこれについて職員の人に質問をしてみたいところ。

で、まあ映画も観たいわけで、今日も結局ベルシーに行ってしまった。ダニエル・ダリュー特集でマンキウィッツの映画があるな、"L'AFFAIRE CICERON"(キケロ事件)? と思ったら藤井仁子さんのブログで絶賛されていた『五本の指』じゃないか! いや確かに、どこを押してもへこみようのない見事なフォルムの映画。お客さんは8割程度、年齢層が昔より高くなっているのはパリも同じようで。

さてさて、シネマテークの書店で"UN CHAT DE CINEMA"(映画の猫)という可愛らしい本を見つけた。マレーやリュミエール兄弟から始まり、チャップリンの『サーカス』やヴィゴの『アタラント号』を経由して『アメリカの夜』やクリス・マルケル、さらに黒澤の『まあだだよ』や『となりのトトロ』にまで及ぶ「猫は映画の中で何をしているか?」の系譜をやさしくまとめた児童向け(8歳以上)の教育本。猫たちは映画スターなのです。こういう「ありそうでない本」がちゃんと出版されて、しかも立派にシネマテーク・フランセーズの刊行物だったりするから面白い。買って帰るので、どなたか日本語に翻訳しませんか?