2014/07/02

2014年6月30日
5年ぶりにパリのシネマテークに来た。この組織のおかげで、ジャック・ドゥミ深作欣二のことを同時に考える!という無茶だけど面白い目に遭っている。最初の仕事は、電卓を片手にシネマテーク附属書店のフランクさんとの商談。フランクさんは、震災の直前まで東京の高円寺に8年間住まわれていて、日本語もかなりできる。今は秋のトリュフォー展のグッズを検討中だそうで、野口久光の有名な『大人は判ってくれない』ポスターのことで連絡を取り合うことになった。

7月1日
今朝はまず仕事へ行く前に、開門間もないモンパルナス墓地へ。クリス・マルケルジャック・ドゥミのお墓。8人共同の墓所に眠るマルケルの場所には招き猫とふくろうの置き物、そしてクリスチャンくんが10歳の時(1931年)に撮った小さな家族写真が一枚。ドゥミのお墓は二度目だが、ますます緑が濃くなっていた。偶然イヴ・ロベール監督のお墓も発見、子どもたちがボタンを取り合って大騒ぎする代表作『わんばく戦争』にちなんでか、服のボタンがいくつも捧げられているのが印象的だった。

シネマテークでは、お世話になってる皆さんへの挨拶回り、ジャック・ドゥミ展担当マチューさんとの打合せランチ、空いた時間はポスター担当のジャックさんに頼まれ日本のポスターのカタロギング情報を提供、という効率的な動きに徹する。そして昼下がり、展覧会「小津安二郎図像学」を紹介してくれた「カイエ・デュ・シネマ」編集部に赴いて、御礼と差し入れ(清酒「ダイヤ菊」)を。次号の校了直前で大変な時期だだそうだが暖かく迎え入れてくれて感謝。壁を見ると一面の「全頁ゲラ」が。「カイエのゲラ展とかどう?」。はは、それは無理ですわ。

左岸にある世界有数の映画ポスター専門ギャラリー「シネ・イマージュ」へ。創立者のジャン=ルイ・キャピテーヌ氏は2年前に亡くなり、今は二代目のアレクサンドル・ボワイエさんが世界中の映画ファンやコレクターの信頼を受けて店を守っている。柔らかい物腰でどんな質問にも答えてくれ、小さな答え一つ一つから経験量の多さがよく分かる。何でも知ってる人は本当に気持ちいい。

夜は、フランス最強の日本映画マニアの方々とカフェで旧交を温め、その後コルシカ料理へ。答えられない質問がいくつもあって困った。