2014/05/29

FBの方はまあまあ順調だが、ブログの方をつい忘れてしまう。リティ・パニュ『消えた画 クメール・ルージュの真実』。ポル・ポト政権下で抹殺された少年時代の幸せな記憶、そして飢餓と恐怖に包まれた強制労働の記憶。その映像が欠如しているなら、いっそ作ってしまえばいいという途方もない考えにパニュは達した。撮影以前に、土人形とミニチュアセットであらゆるシーンを再現しようとするパニュの造形的記憶の確かさに戦慄が走る。フィルモグラフィの一本ではない、早くも総決算の映画なのでぜひ劇場へ。現代政治史やアジア研究の視点で見る意義もさることながら、やはり映像表現の可能性に向かって論じられてほしい一本。

さて「京橋屋カレー」の辛口チキンカレーは、食事の楽しみを提供するというより、目の前の一皿に集中することのひたむきな歓びを私たちに強いる。とにかくうまいが、人を内省的にするカレーだ。

気づいたら、京橋はカレーの町。インド系であれ非インド系であれ、そこかしこにカレーが潜んでいる。銀座南端も含めれば、ダバインディア、グルガオン、カイバル、エリックサウス、アーンドラ・ダイニング、ダクシン、エベレストダイニング、三丁目のカレー屋さん、京橋屋カレー、札幌ドミニカ、もうやんカレーまである。

この盛夏、マスムラ映画といえばイタリアンじゃなくてカレー、ということでよろしく。