2014/03/29

1976年にフィルムセンターで行われたレクチャー、岸松雄の「小津安二郎交友録」音声資料紹介。死の3か月前、あらゆる療法を試してみたが治らない、今年は蓼科も行かない、という小津の焦りと慨嘆の言葉をただ一人伝えられる相手が、清水宏だったという事実。ここまで対照的な二人だったのに、戦後は接触も少なかっただろうに、最後まで切れなかった親密さがずっしり重い。だが、女性関係の話は笑わせてくれた。清水宏はほとんどストーカーではないか。

夜は、十条駅前のシネカフェ・ソトにて、都築響一×柳下毅一郎トーク&上映イベント「場末のシネマ・パラダイス―本宮映画劇場という奇跡」。いま最先鋭の映画企画は間違いなくこれです。都築氏が同劇場の田村修司さんに取材した新刊「独居老人スタイル」のPRも兼ねて、今年開館から百年となる同劇場の特異な面白さを紹介するとともに、田村さんお手製の歌謡映画やピンク映画リミックス(!)フィルムの上映、さらに激レアな成人映画ポスターの展示も。1960年代の成人向け映画には、きちんと映倫を通し、恐らくは「キネマ旬報」にも記録が残っている「公式」のピンク映画のほかに、どこにも記録が残らない「非公式」な映画がそれなりに流通していたことを、田村さんの所蔵資料は教えてくれる。宣伝資料のあまりの馬鹿馬鹿しさから、不可解ながらもその存在は愉快としか表現しようがない。最後にはゲストのピンク男優久保新二さんの絶好調トークも飛び出して、予定時間を大幅に飛び出して終了。堪能した堪能した。