2013/04/02

ミシェル・ゴンドリーの新作『ウィ・アンド・アイ』。夏休み前の最後の日、ブロンクスのハイスクールから悪ガキどもが大騒ぎしながらバスで下校してゆく、ただそれだけ。それだけだが、空間を限った戦略が利いていて、男の子も女の子も一人一人が粒立っている。即興のように見えて、綿密なコントロールが利いている。それにしても、ニューヨークの市バスってこんな長距離路線あるんかい。

そして、おばあちゃんになってもベルナデット・ラフォン主義者だから『スカイラブ』。1979年、ヴァカンスでブルターニュの家に集まった大家族のすったもんだの喜怒哀楽、ただそれだけ。それだけだが、もうジャンルでも文体でもなく、作り手に知性と成熟と度胸があれば映画になるんだという映画作家ジュリー・デルピーの無言の自信に脱帽。細かい台詞がいちいち利いてる。とにかく、いまベルナデット様とエマニュエル・リヴァの会話(下ネタ含む)が観られるという僥倖。

日曜日、銀座シネパトスの終幕の風景。私がここで観た最後の映画は『私の奴隷になりなさい』、その前が『ニッポンの嘘 〜報道写真家 福島菊次郎90歳〜』でした。ぎりぎりで「銀座地球座」の時代を覚えています。お世話になりました。