2013/02/03

土曜は、稲垣涌三キャメラマンによるミッチェルNC型キャメラの解説と操作。故障の少なさ、堅牢さ、画止まりの良さ、1000フィート用マガジンの標準採用(それまでのパルヴォなどは400フィート)が評価されて、1932年の発売以来世界を席巻したミッチェル。しかしまだ二眼レフの時代、ボディ全体を右にスライドさせて焦点を合わせるラック・オーバー式を採用したが、それとファインダーの視差による操作の難しさがキャメラマンを悩ませた(リフレックス式の開発まで)。ノイズレスを謳ったものの、撮影部には気にならないのに録音部にはうるさく聞こえるらしい、といったスタッフ間の感覚の違いも面白かった。従って、撮影所ごとに手製のブリンプ(ふとんのような厚い布を加工)を作ってキャメラにかぶせていたという。東宝撮影所はコーデュロイだったとか。なおハリウッドではブリンプつきのBNC型が普及したので、ふとんは使われなかったという。

無声映画に関わる仕事をしているくせに、実は今まで公演を観たことがなかった山崎バニラさん。本日ついに雪辱、「山崎バニラ活弁大絵巻」@全労済ホール(新宿)。ほぼ満席。映画にツッコミを入れる話術も含め、自分なりの芸道を切り拓いてゆく様が心地良い。学ぶことがとても好きな方だということも、バルネット『帽子箱を持った少女』の説明からよく分かる。良い午後でした。