2013/01/31

畑暉男さんのトーク「私の西部劇体験」、想像を絶する盛況のうちに終わる。平日なのに、会場整理のやり方を考え直さねばならないほどの大入りになった。往年の西部劇ファンにとって、畑さん編集の「西部劇大全集」(1979年、芳賀書店)はバイブルともいえる資料集で、保存用と書き込み用の複数冊を持つ方もいて、終了後は本を持参した方々のご希望によるサイン会に発展した。

トーク自体も、1945年秋(!)に遡る少年期のアメリカ映画の記憶、なかでもジョエル・マクリー主演『大平原』鑑賞の思い出を皮切りに、CMPE配給によるアメリカ占領期の西部劇体験が次々と語られた。戦争をはさんだためにアメリカと日本の公開時期が大きくずれて、歴史的位置づけが日米でかなり異なる作品も多いという。

企画者の私としては、今日は西部劇自体の勉強にもなったが、それ以上に、映画への熱情と深い知識を持ち、西部男の生き様を人生の指針にまで高めて生きてきた「西部劇ファン」たちの存在を学んだ。活発な質疑応答のあいだも、彼らの「畑先生」への敬意は強く、大混雑なのにすこぶる居心地のいい空間になっていた。勝手な想像だが、彼らはあの後、この場で知り合ったばかりの人も誘い合って、大挙してウィスキーやビールを飲みに出かけたのではないだろうか。