2012/05/07

今日の講義は、特別ゲストに『相馬看花 第一部 奪われた土地の記憶』公開を控えた松林要樹監督をお招きして。フリーランスと組織の映像製作の違いとか、「現地」に飛び込んで分かるインターネット世界の歪みとか、原一男監督からの影響とか、就職活動だけが人生じゃないとか、ここの卒業生でいらっしゃる東風の向坪さんも巻き込みつつ、ざっくばらんで率直な語りがやたらと楽しかった。

6月公開の『キリマンジャロの雪』(ロベール・ゲディギャン)。「現代のマルセル・パニョル」ことゲディギャンの世界は『マルセイユの恋』の頃と頑固なまでに変わらず、どっしり腰の据わった南仏人情劇。『ルアーブル靴みがき』の警視役ジャン=ピエール・ダルッサンが、ここでは解雇者リストに自分の名を加えてしまう心優しき労働組合のリーダー。犯罪者にも理由がある、大切なのは階級の連帯なんだ、という映画を今どきマリーヌ・ル・ペンが大量の得票を得る土地で作るのはそれなりの覚悟も要るだろう。妻を演じるアリアーヌ・アスカリッドがダルッサンのはげ頭にキスをするシーンがいい。