2012/05/02

明日は天気悪そうですが、一箱古本市は雨天決行。千駄木「古書ほうろう」にてお待ちしております。今年は本以外の商品もちょっとあります。

ドキュメンタリー『オロ』@中野ZERO視聴覚ホール。77歳、岩佐寿弥監督の新作に触れられるという幸せ。6歳で親と離れてチベットから亡命、辛酸もなめたが今はインドのチベット人学校で熱心に勉強に励む少年オロくん。一見しただけでも芯の強そうな男の子だが、自分の思いの丈を語らせてみると驚くべきモノローグ能力の高さを示す。ネパールへ旅行した時の、おばあさんとの対話のシーンにも充実した時間が流れている。こんな少年が見つかって本当に良かったと思う。あと岩佐監督らしいと思うのは、「映画を撮る」「映画に撮られる」という行為自体が、作品の有機的な一部をなしていること。オロくんは監督に、そんなにお年を召してどうして映画を撮りにきたのかを尋ねる。しかもオロくんが監督になり、岩佐監督が撮影されるシーンさえあるのだ。亡命中のチベット人少年にとって「映画」とは何であり得るか、その問い自体がすがすがしく見える。

梶山季之せどり男爵数奇譚」読了。書物愛に取り憑かれた人間たちをめぐる、噂では聞かされていた「奇書をめぐる奇書」。背筋が寒くなる。