《FIAF北京会議》 本棚は語る

朝はフィルム・アーカイブの諸問題を考える「第二世紀フォーラム」があったが失礼し、西単地区にある大型書店「北京図書大廈」の映画書コーナーへ行ってみる。映画の棚は2つ。デヴィッド・ボードウェルカール・ドライヤー研究が最新刊だったりするのも面白いが、映画書コーナーと言いながら約半数はテレビ関係の本だったり、北京電影学院教則本が結構書棚を占めていたり、この国の映像産業の形がかなり見えてくる。ハリウッド映画産業研究の本はいくつもあるのに、映画史の本は案外と少ない。わが図書室に寄贈すべく、中国映画史の本を買ってそのまま天安門広場まで歩いてみる。北京の地下鉄は、昼間でも混んではいるが使いやすい。

夕刻は地域別のミーティング。アジア諸国の参加者20名ほどが一堂に会して、自己紹介とそれぞれの最新トピック、今起きている問題やその対策を話し合う。終始和やかなムード。日頃、目前の仕事に忙殺されていると、映画はどこまでも広い、などという当然のことも簡単に忘れてしまう。遠い国で同じ仕事をしている人に会うことの意義は、いつでも自分の日常のコンテクストを叩き壊せる、そんな自在な思考を活性化させることだ。