2012/02/27

さあ帰ろう、ペダルをこいで』(ステファン・コマンダレフ)@シネマート六本木。合作だが実質的にはブルガリア映画。冒頭はドイツ。交通事故で両親を失い自身も記憶喪失になった入院中の青年を、ブルガリアからやってきた祖父が連れて帰ろうとする。このじいさん、バックギャモンの名手で元反政府活動家、苦悩の中でも人生の楽しみを忘れないという実に人間くさいキャラクター。クストリッツァの映画によく出てくる俳優で、というより『パパは、出張中!』のお父さんの人だ。で、連れて帰る方法はなんとタンデム自転車。東欧ってそんなに狭いかね、山もいっぱいあるだろう?と思うのだが、亡命一家に育った青年の過去を逆流させるこのえっちらおっちらの自転車行から映画がぐっと伸びてくる。『ソフィアの夜明け』に続いて、注目のブルガリア映画

監督は「映画として、バックギャモンとその哲学、その世界観を扱ったのはこの作品が初めてだ」と語っている。私はバックギャモンが好きは好きだが、まるで初心者で、きっと監督より弱いに違いない。

文化庁メディア芸術祭国立新美術館にも寄る。