2012/02/22

試写メモ。『ル・アーブルの靴みがき』(アキ・カウリスマキ)。映画でル・アーブルの港といえば、私などはやっぱりデュヴィヴィエの『商船テナシチー』あたりが思い浮かぶのだが、この堂々のカウリスマキ節の中で目指されているのは、案外「詩的レアリスム」なのかも知れない。描かれるのは運命へのささやかな抵抗。逃亡した黒人少年を探しまわる刑事の動きも1930年代っぽい。しかも、主人公の病妻カティ・オウティネンの幸薄い役柄はいつものことだが、その名はあろうことか「アルレッティ」。

この映画に出てくる「リトル・ボブ」という地元の老ロックンローラーが最高。彼だけでも観る価値がある。

http://www.littlebob.fr/