2012/02/06

昨日と今日と、学生のレポート読みと採点に明け暮れる。映画も試写も諦める。一年間、フランス映画のことを話した。いちばん学生に人気が高かったのは『赤い風船』。次に『ぼくの伯父さん』と『シェルブールの雨傘』。ゴダールは思ったほど人気がない。今はもう、ゴダールがなぜかっこいいかそれぐらい見て分かれ、とは言えない時代だ。一方で、『ラ・ジュテ』にずっぽりハマっている学生もいて嬉しい。

「イングマル・ベルイマン展:難題を投げかけた男」オープニング@スウェーデン大使館。金属製の「木」から伸びている5本の枝にそれぞれ小さなスクリーンが取り付けられていて、ベルイマン作品の抜粋、インタビュー、撮影現場の映像などが見られるというインスタレーション。『大人は判ってくれない』の一シーンに出てくる『不良少女モニカ』の写真もあった。イングマル・ベルイマン財団のヤン・ホルムベリ氏によるレクチャーでは、1960年にはスウェーデンの外で撮ることなど考えられないと発言しながら、1976年には脱税容疑でドイツへの逃避を余儀なくされたエピソードから、ベルイマンの祖国に対する愛憎の一端も垣間見られた。『ファニーとアレクサンデル』はその愛憎の産物か。そして、祖国でもいったん「過去の人」とされたベルイマンが、死去後のいま、映画監督よりも劇作家として再評価を浴びているという。やはり一筋縄では行かない人物である。