2012/01/21

上映と研究報告会「《幻灯》に見る戦後社会運動—基地と原爆」@早稲田大学山形国際ドキュメンタリー映画祭での上映ほか(昨年9月22日と10月11日日記ご参照)、鷲谷花さんのもと昨年から驀進を続ける戦後の幻灯文化研究、その最前線。サンフランシスコ講和条約で原爆表現への圧力が少なくなると、峠三吉の詩集や新藤兼人の映画、「アサヒグラフ」掲載写真とともに真っ先に原爆の惨禍を伝えたのは、丸木位里・俊夫妻の発禁絵本『ピカドン』を再構成した幻灯(『ピカドン 広島原爆物語』)であった。教育映画よりは慎ましいが紙芝居よりはずっと華やかというこのロール式フィルム幻灯、これまでは映画研究からもメディア研究からも死角に入っていた。だが、ソフト制作の簡便さが道を開いた自主文化運動の数々を知るや、いま新しいメディア史の鉱脈が掘り出されているという臨場感が俄然高まっている。