2012/01/08

『テトロ 過去を殺した男』@シネマート六本木(デジタル上映)。南米ブエノスアイレスを舞台に、名音楽家の家系を捨ててそれぞれ放浪の人生を歩んだ兄と弟のストーリー。まず、内容は書かぬがタイトルデザインが美しい。家族の確執にこだわるあたりはいかにもコッポラらしいが、ブエノスアイレスという街を悠然とかつ繊細に捉えたモノクロームの画面は、現在のコッポラがいかに楽しげに映画と向かい合っているかを教えてくれる。ブエノスアイレスには今も古きヨーロッパが残されていると言われるが、この映画では《ヨーロッパの映画作家》としてのコッポラの資質、そして《ヨーロッパ俳優》としてのヴィンセント・ギャロの資質が炸裂している。あとウォルター・マーチの本を読んでから観ると、ちょっとした効果音までビンビン感じられてくるから不思議だ。