2011/11/28

講義でジャン・ルーシュの『人間ピラミッド』。映画にひと夏を捧げた高校生たち。そして、搾取することなく、映画を「永遠の18歳の夏休み」として出演者に“返す”という発想。この映画を講義に使えるようにしてくれた紀伊國屋書店ありがとう、と素直に思う。

大正デモクラシー期の政治」展@衆議院憲政記念館。特別展は年に一度だそうで、さすがに資料の調査と読み込みに時間をかけた感じがする。無料で、しかもカタログが一冊もらえた。普通選挙の導入にしても震災復興にしても、誰が何を考えて政策の流れが決まったのかが見える。特に後藤新平資料は必見。大正時代の文化状況を示す資料としてフィルムセンターの阪東妻三郎ポスターも貸し出しているが、すぐ近くに早大演劇博物館所蔵の築地小劇場第1回公演ポスターがあったり、いろいろお声がかかっているのだと分かる。まあ、いちばんの衝撃は、暗殺された原敬が着ていた血染めのワイシャツ(ピンクの縦縞)だった。胸元にはナイフの刺さった跡と思われる直線の裂け目が…。

大正デモクラシーから園子温へ。ここんとこ映画館なのか試写室なのか分からなくなってきたシネマート六本木で『ヒミズ』。確かに堂々の国際級映画になっている。いま、生硬ながら世界を全部見切ったかのような少年など染谷将太しか演じられないだろうし、不思議キャラの二階堂ふみも後半どんどん良くなってくる。脇役ではスリの窪塚洋介がいい。そして吉高由里子鈴木杏新井浩文クラスがワンシーン出演という贅沢。