2011/11/21

学生に『ラ・ジュテ』を見せる。この映画のできた1962年は、世界が全面核戦争を覚悟したキューバ危機の年だった。当然クリス・マルケルの念頭にもそれがあったはず。だがその脅威の下で彼が考えていたのが「もし世界が破滅したら私たちの記憶はどこへ行くのか?」だったことは驚くべきだ。何度観ても、剥製の博物館のシーンでは涙ぐんでしまう。

日活&フィルムセンターの共同復元企画『幕末太陽伝』デジタル修復版@京橋テアトル試写室。満員。どうして誰もかもがここまで踊れてしまうのか。ユーロスペースで『明日泣く』。内藤誠25年ぶりの新作だが、そもそもいま色川武大を映画化するという志に感じ入る。俳優さんが弱いのは仕方がない。それにしても、監督こだわりの題材を低予算に耐えながら撮ると、なぜだか、時を越えてATGの香りがする。

本日のキノハウス。その1、カウリスマキの新作『ル・アーヴル』のオリジナル・ポスターがロビーの隅に貼られていた。犬のライカの出演が赤文字で強調されている。今回も名演なのだろう。小さい役でピエール・エテックスジャン=ピエール・レオーもいるらしい。その2、「シネ砦」最新号をゲットした。せっかくこういうサイズなので、入手したら電車の中で大きく開くのが「シネ砦」の正しい読み方。早く『ひとつの歌』を観たい。その3、誰からも見える空族ミーティング。「カフェ・テオ」のオープン席で堂々とやっていました。