2011/10/22

サタデーランチ探検三人組。飲食店の多い小道の脇に、「ワインバーですがお昼はスパゲッティのランチやってます」という趣旨の看板が出ていた。種類は、どこでも見るようなカルボナーラとかボンゴレとか。2階だと書いてあるので見上げると、窓ガラスにあえて「美味しいイタリアン」などと白ペンの文字が。まあ、たまにゃこういうのも良いか、と入口を探すと、矢印の先はひどく殺風景な雑居ビル。「ここに入るの?」と言いながらも自動ドアを抜けてこつこつ階段を登ると、いきなり歯医者の看板が現れる。ええっ?と一同うろたえるが、よく見れば、左のドアを開けると歯医者、右へ行けば件のイタリアンらしい。だから当然右へ行くが、明らかに「先日までスナックでした」という感じの、重々しい木製の扉がぬっと出現する。それでも勇気を出して開けてみると、雑然とした通路の奥はガラス張りのくせに不気味に薄暗い。すでに「ちょっと訳ありなビジネスランチ」風の人々が二組いて、鋭意スパゲッティ中だった。10席程度しかないので、どうにか入れるかと思ったところで一人ぼっちの料理人が「お時間かかりますよー」と低く明瞭な声で語りかけてきて、私たちはきびすを返した。あの店、いったい「意外さ」を何回畳みかけてくれば気が済むのか、と上海料理の店で黙考する三人。再開発で風景の均一化しつつある京橋も、まだまだ捨てたものではない。

映画祭の喧噪いまだ遠し。『サウダーヂ』も今日が公開だが、その熱狂からも遠し。