2011/09/19

朝から三鷹市市民ギャラリーの「谷川晃一展 南の庭のアトリエより」へ。色使いがくっきりと陽性で、特にコンポジション風の作品などは部屋に飾りたくなる。絵本は「ニャンニャンシティマラソン」が好みです。私のお目当ては、1960年代末に制作していたゴダール映画の自主上映や日本のアングラ映画上映(岡部道男とかおおえまさのりとか)のポスター。某博物館で下見をさせていただいた時に一目惚れしたのだが、同じものがここにも展示されていた。

『マイブリッジの糸』はもう観たのだけれど、山村浩二さんの選んだカナダNFB傑作選と山村さんの近作を併せて観られるとあらば、恵比寿へ駆けつけない方がもったいない。この瞬間、東京でもっとも重要な映画上映のひとつは、間違いなくこの『マイブリッジの糸』Bプログラム。

クラレン&マンローの『カノン』(1954年)以外は初見。名高いジャック・ドルーアンの『心象風景』(1976年)は、風に揺れる草を表現するピン・スクリーンの微細な動きに息を呑んだし、イシュ・パテル『ビーズゲーム』の、ビーズ玉の動きだけで地球上の生き物の発達史を総まくりするという壮大な世界観にもしてやられた。さらに舌を巻いたのが『技』(ジョルジュ・シュヴィッツゲベル)というカナダ・スイス合作(2006年)で、噴出する想像力と数学的な秩序が融合したというか、「マクラレン・ミーツ・エッシャー」というか。プロコフィエフの緊密な使われ方も絶品。

前回カナダ大使館で『マイブリッジの糸』を観た時は、こちらの精神の方が不用意だったのか、表現の奔流を受け止めきれなかった感があった。しかし今回は、山村さんの映画宇宙を形作ってきた海外作品や、近年の模索を示す自作(『fig』と『こどもの形而上学』)と一緒に観られたことで、歴史的にも『マイブリッジの糸』への道筋を感じ取ることができたし、画面に集中できたので細部まで身体にすっと入ってくるようだった。

ホールを出ると、屋外で「恵比寿麦酒祭」なるイベントをやっているので、ランチついでに一杯だけ飲んでから、やむなく職場へ。自分の仕事のほか、明日から始まるぴあフィルムフェスティバルの会場作りの手伝いも少しだけ。