2011/07/25

土曜日、イメージフォーラムでチラシ拾いをしていて、ピクッと手が止まったのが『アップサイド・ダウン クリエイションレコーズ・ストーリー』。そんな記録映画までできる時代ですか。一時はマイナーなバンドまでずっぽりハマってしまったクリエイション・レーベル。久々に「缶バッジつき特別鑑賞券」とやらを買ってみたくなる。それにしても、イメージフォーラムでの階段チラシ拾いはいつも後ろめたくてマゾヒスティックな気持ちになる。それもまた良し。

大鹿村騒動記』(阪本順治)@新宿バルト9原田芳雄だけではない、老境に近づいた演技者たちのハーモニーを味わうために存在している映画。ここでは松たか子瑛太、いや佐藤浩市でさえ彼らの引き立て役でしかない。正気の時も、正気を失った時も、大楠道代の可愛らしさには脱帽した。90分はあっという間。ストーリーの背景には、リニア新幹線だの地デジだの今どきな記号も散りばめられているが、いちばんの重しはやっぱり長老(三国連太郎)に象徴されるシベリア抑留だろう。長野県南部といえば満州移民である。ちなみに、ただの自慢だが、私は大鹿村に行ったことがある。夜になると完璧な闇に包まれるどこまでも深い山里だ。道ばたに自生しているブルーベリーを摘み、それがやけにおいしかったことを覚えている。