2013/02/14

放送界の脚本保存をめぐるシンポジウム「脚本アーカイブズは「誰のため」「何のため」?」@文部科学省ホール。「1970年代までの番組保存は極めて貧弱なのでせめてシナリオだけでも」がこのアーカイブズの現状だが、今日はシナリオ以上に番組保存そのものがクロースアップされていたようだ。山田太一さんによると、ビデオ草創期はテープが高価で何度も上書きされたので、今では貴重なテレビドラマもまるで残らなかったという。さらに、パネルディスカッションの中で今野勉さんが語った。残らなかった理由は他にもある。一つは「関係者がみんなバカだった(笑)」から。そして放送のみ&保存不可の「一時的固定」であれば著作物が安く使用できたそうで、業界もそれに唯々諾々従っていたから。やっぱり「制度」の問題だった…。

で、今野さんの驚愕の証言。「でも、バカじゃなかったのが一人だけいた。実相寺昭雄です。彼は自分の作った番組を、全部フィルム撮りでキネコしていた。地方局に渡す必要があるからと嘘の伝票まで書いてフィルムを調達して撮っていた。後々まで全部自分で保管していた」。背筋が凍りつく、恐るべき先見の明。

結論としては、先月26日の「記録映画アーカイブプロジェクト」に負けない刺激的なシンポジウムだった。

http://www.nkac.jp/