2012/12/10

京都より戻る。和田誠さんトーク(@京都国立近代美術館)の聞き手を務めた。予定を大幅に超える90分、監督作のお話と映画ポスターのお話で、頭からしっぽまで濃密な時間。

展覧会「映像をめぐる冒険Vol.5 記録は可能か。」@東京都写真美術館。いわゆる美術展という形式で「記録する映像」の諸相を捉えようとする試みは野心的だが、映像のまた一つの本質である「声」の力を活かしきれないホワイトキューブの弱点を突きつけられた形だ。小川プロの『三里塚 第三次強制測量阻止斗争』が随分小さな音声で投影されていたが、こうして展覧会の枠に収めてみると、あの映画が三里塚農民の「声」を全身で受け止めんとする自発的観客のために存在したという当然の事実に突き当たるしかなく、美術館という空間の思想的限界が露呈してしまう。

その中で、戦後の草の根メディアとして再発見されつつある幻灯のコーナーは、表現内容と伝達媒体が身も蓋もないほど密接であるだけにこの展覧会でもっとも地に足のついた部分であり、一つの磁場をなしている。いずれにせよ、映画に関わる人間は、現代美術展における「映像」についてもっと敏感に反応すべきだ。
http://syabi.com/contents/exhibition/index-1722.html